地下書庫に憩う日々

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政治的思考

政治的思考 杉田敦 岩波新書1402

政治的思考 (岩波新書)

具体的な政局や個々の学説を紹介するような本ではなく、政治や、政治的なことについてやや哲学的に、著者が思うことを書いていってある。系統だった説明や、知識を求める読者には物足りないかもしれない。しかし、けっこう興味深く読めた。

政治的な事柄」というのは、なにも世界規模のことや国政だけに限られる訳ではない。地方自治体は言うに及ばず、地域の町民会や職場、学校、はては家庭までおおよそ人が2人以上あつまれば政治的な関係性が生まれるといっていいと思う。私たちが日々接するそのような身近なものから、国政のような大きなものまで、この政治的事象についてどのように考えれば良いのかヒントが得られると思う。

例えば、「権力」について。従来の考え方では、権力は固有の権力者が持つもので、その人からあたかも権力が光のように照射されているようなイメージで語られていたが、著者はその場面場面で真に権力を持つものが変動しているというモデルを解説する。このようなモデルは自分の経験を考えてみても理解できるものだった。また、「自由」については、なんでも自由度が高い方がより「良い」状態なのかについて議論されている。

目新しいことばかりではないが、一読してみるのも良いと思う。政治的思想を語るとき、時として私たちは自分の政治的信条を盲目的に信じて暴論を語りがちになったり、また反対に非常にシニカルな態度をとったりすることがあるが、そのどちらも著者は戒めていると思う。話は変わるが、最近NHKで放映されている「ログホライゾン」というアニメは、オンラインゲームの中にプレイヤーが閉じ込められてしまう話だが、このようなあり得ない状況ではあるがそこでどのように政治が生まれてくるのかが描かれていて、本書を思い出しながら見た(お正月でまとめて放映されていたので見る機会ができた)。