地下書庫に憩う日々

最近読んだ書籍の目録

大学とか高等教育とか

大学とは何か 吉見俊哉 岩波新書

大学とは何か (岩波新書)

 

日本の教育格差 橘木俊詔 岩波新書

日本の教育格差 (岩波新書)

 

大学破綻 諸星裕 角川oneテーマ21

大学破綻  合併、身売り、倒産の内幕 (角川oneテーマ21)

大学キャリアセンターのぶっちゃけ話 沢田健太 ソフトバンク新書

大学キャリアセンターのぶっちゃけ話 知的現場主義の就職活動 (ソフトバンク新書)

 

教育の職業的意義 本田由紀 ちくま新書

教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ (ちくま新書)

 

スタンフォード 21世紀を創る大学 ホーン川嶋瑤子 

スタンフォード 21世紀を創る大学

 

最近ふとした理由で、ここ二年くらいに読んだ大学や高等教育機関に関係のある本を読み返している。それぞれ著者のポジションや見ている射程の長さは異なるが、現在の大学、高等教育機関、そして進学や就職のプロセスに問題があるとして、その問題点の洗い出しや解決策をしている。

大学の問題は、これまでにもたびたびメディアに上がる機会はあったし、その都度論じられもしてきた(大学全入時代とか、分数のできない大学生とか、日本の大学が世界の大学と比べていかに劣っているか遅れているか、とかいうような感じで)。しかし、最近で一番の話題と言えば、2012年に前民主党政権で田中眞紀子文部科学大臣が発表した大学認可の取り消しだろうと思う。大学や自治体関係者の猛反発にあい、世論の支持も前大臣が考えていたほど得られなかったようでいつの間にか立ち消えになった。前大臣の言動は性急すぎていたし、これまでの経緯を一切無視して問題を解決しようとした点で、実現不可能なことだったと感じる。前大臣がなにかと批判的に扱われることが多い大学を「叩く」ことで人気取りを目論んでいたというのも、根拠のない見方ではないと思う。

しかし、そうであるにしても、現状の大学や高等教育機関が全くの無問題であるとは言えない。大学はこれから数十年という単位のなかでかなりの変容を余儀なくされるのではないかと思う。しかも、これは大学に限った問題ではなく、進学や就職を通じての経済格差の問題や、国民を主体とした国家という制度の存続にまで関係しているようで、とても複雑で大きな複合体になっているなというのが、上記の本を読んでのなんとなくの感想だ。

ニュースでは学力的に低位置にある大学や大学生を糾弾することや、就職後即戦力になるような教育とは?といった話題が幅を利かせているが(これらの問題もとても重要だと思うけど)、より長期的に見ると、そのような視点だけでは見えてこない変化が大学で進んでいるように思う。少子高齢化で安直な「国内成長産業」ではなくなった日本の大学は、ここからより変化が加速するんじゃないだろうか。最近話題のMOOCs (massive open online cources)やadaptive learningも、海外発だがそのような変化の一つだろうと思う。

もうひとつ、最近は東京大学が秋入学検討を発表していることが報道され、こちらも大きな反響を呼んだ。世論は反対の声が大きいように思うが、確かに身近にいる留学生からは、半年のギャップの扱いにこまっているという感想も聞かれた。本当に東京大学が世界中から学生を集めるためには、入学時期を合わせることは必須ではないの?国内で生じる問題を理由に簡単に断念して良いとも思えない。東京大学や他の幾つかの大学は、もはや日本「だけ」のために存在する大学ではなくなりつつあるのではないかという気もする。これも、優秀な留学生確保や、国際競争力をつけるといった視点で語られることが多いが、大学の国際化と、国家の中での位置を再定義する問題ともいえる(ただ、秋入学について言えば、自分の意見はまだ定まっていない)。

上記の本や新しく読んだ本の感想もブログでまとめ、考えを整理していきたい。